P4-その1 自衛隊の創設
わたしたちの国を守るだけだった自衛隊が、
武器を持ってよその国にでかけるようになります。
世界の平和を守るため、
戦争で困っている人びとを助けるため、と言って。
自衛隊は「侵略から国を守る」ためにつくられました。
発足したときには、国会で「海外出動はしない」という決議もされています。
けれども、そのありようは、徐々に変わってきています。
・自衛隊の前身
1945年、日本の敗戦とともに、GHQによる占領統治が始まりました。当初、GHQは日本の非軍事化、民主化を強力に推し進めました。そして、1947年には「戦争放棄、戦力不保持、交戦権否認」を定めた日本国憲法が施行されます。
しかし、米ソ冷戦が深まるにつれてGHQは方針を転換し、共産主義の防波堤にしようと、日本に再軍備を求めるようになりました。
1950年に朝鮮戦争が始まり、日本に駐留していた75,000人の米軍が朝鮮に派兵されました。その空白を補い、国内の治安を維持するために、国会審議を経ることなく、GHQ総司令官マッカーサーの命令によって警察予備隊がつくられました(ポツダム政令)①。これが陸上自衛隊の前身です。
1952年4月28日、サンフランシスコ講和条約が発効し、日本は独立。同じ日に日米安保条約も発効し、米軍は日本への駐留を続けます。日本は、講和交渉の際のアメリカとの約束にもとづき、警察予備隊を増強して保安隊としました。
ほぼ同じ時期に海上自衛隊の前身となる海上警備隊もつくられます。
・自衛隊の創設
自衛隊は、冷戦のなかで自らの陣営を強化しようとするアメリカからの要求と援助によって、1954年につくられました。
きっかけとなったのは、この年にアメリカとの間に締結された相互防衛援助協定です②。
この協定では、アメリカが日本に兵器などの援助をし、日本は防衛力の増強とアメリカにさまざまな便宜をはかることを約束しました。
その結果、保安隊と海上警備隊が増強・改編され、新たに航空部隊も加わって、陸・海・空の自衛隊が発足したのです。
任務は、自衛隊法第3条第1項に、つぎのように定められました。
「自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当るものとする。」
当時は再軍備を警戒する国民の反対が強く、参議院では「自衛隊の海外出動を為さざることに関する決議」がなされました。
創設から30数年の間、自衛隊が海外で任務を行うことはありませんでした。