北陸朝日放送 2022年8月24日放送分書き起こし
「新・戦争のつくりかた」の緊急重版を受けて、絵本の制作に関わった小原美由紀さんが北陸朝日放送の取材を受け、2022年8月24日のニュース番組の中で紹介されました。以下、その内容の書き起こしです。
「戦争を問う 戦争への危機感 絵本で表現」
下田アナウンサー
「戦後77年 シリーズ『戦争を問う』。
ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、日本も戦争のできる国へと進んでいないか、やさしい言葉で危機感を表した絵本が今、改めて注目されています。
久保アナウンサー
「2004年の初版から累計14万部のロングセラーとなった、こちらの絵本。「新・戦争のつくりかた」、今月 緊急重版されました。」
久保アナウンサー
~「戦争のつくりかた」朗読~
「戦争への素朴な問いかけで始まる絵本 「戦争のつくりかた」2004年、日本が戦争できる国に近づいていくのでは、と危機感を覚えた翻訳家や学者、主婦らおよそ20人が、りぼん・ぷろじぇくととして自費出版した冊子は、配布を始めると思わぬ反響を呼び、刷り上げた33,000部はわずか3か月で底をつきました。
「戦争のつくりかた」の編集に参加した野々市市の主婦、小原美由紀さんは、当時をこう振り返ります。
久保「こちらが、その初版の冊子ですよね。どんな思いで、この絵本作りに参加されたんですか?」
小原「当時国会で話されていた法案に対して、その問題点をたくさんの人に知っていただこう、というメーリングリストでの話し合いの中で、「絵本をつくろう」ということになったんですけれども」
「原案がメーリングリストに提案されてから、1か月もたたない間に本の形になったということになりますね。」
「もう、本当に急いでいたので、誰でもダウンロードしていいよ、という感じでWEBにもUPしていたんですけれど、ものすごい反響がありまして、全国に散らばる主婦のメンバーたちが注文リストを見て、ココのうちに20冊、とか10冊、とか封筒に入れて、毎日郵便局に通いました。」
久保「重版になるような本になるとはその時・・」
小原「まったく思っていなかったですね、その時は『今 出さなきゃ!』という思いでそれだけに一生懸命でしたね。」
武力攻撃事態法などの有事法制が制定され、国民保護法の審議が国会で進む最中でした。
~「戦争のつくりかた」朗読~
「戦争のつくりかた」の初版からわずか二か月後、大手出版会社、マガジンハウスから書籍として出版されることに。(あわせて)およそ、12万3千部を完売しました。
2014年には改訂版「新・戦争のつくりかた」を出版。デザインを一新し、資料を大幅に拡充させました。これまでに、およそ2万部が完売。
~ 金沢弁護士会の特定秘密保護法反対デモの映像~
小原「特定秘密保護法とかが大きな社会的な問題になっていたころだったんですね。なので、前の本はなくなってしまったけれど、どうにかもう一回出せないか。 ちょうど(自費出版本を)出してから10年だったので、もう一回どうにか出せないか、という思いが りぼん・ぷろじぇくとのみんなにもありました。」
「この、巻末にですね、関連年表というのをつけました。この『法案』だったものが国会審議を経て『法律』になっていく、という様子を書いてみました」
「そして、このように自衛隊が海外に派遣されているという世界地図を載せてみることで、本当に作り話ではなくて、この2004年に作ったおはなしが、どんどん現実に近づいているんじゃないですか?っていうことを改めて問いかける本になったんではないかな、という風に思います」
~「戦争のつくりかた」アニメーション挿入 ~
さらに、2015年には、アニメーション作品として映像化され、大きな話題を呼びました。
「戦争のつくりかた」では、「戦争できる国」になると、たとえばどんな国になるか、が描かれています。
https://www.youtube.com/watch?v=cUGu73hnjdY
『政府が戦争するとか、戦争するかもしれない、と決めると、テレビやラジオや新聞は、政府が発表した通りのことを言うようになります。
政府につごうのわるいことは言わない、という決まりも作ります。
みんなで、ふだんから、戦争のときのための練習をします。
なんかへんだな、と思っても、
「どうして?」ときけません。
きけるような感じじゃありません。
そこで、『わたしたちの国は、戦争に参加できる』と、「憲法」を書きかえます。』
日本は、終戦から77年を迎え、ロシアのウクライナ侵攻も続く今月、『新・戦争のつくりかた』が2016年の第4刷以来、6年ぶりに緊急重版されました。
久保「なぜ今、緊急重版されたんでしょう?」
小原「夏になると、毎年(出版社に)問い合わせがくるらしいんですけれど、今年は体感として3倍くらいの問い合わせがあったそうなんです。
2022年からの(ロシアによる)ウクライナ侵攻ですよね。ああ、こういう本があるんだ、という感じで読んでみたい、と思われた方が多かったのかな。」
久保「重版にあたって、また新たに加わったものもあるんですか?」
小原「そうなんです。前にこの本を出したのが2014年7月ですので、絵本の世界はそこで止まっているんですけれども、それから、2015年の安保法制があったりとか」
~ 映像 2015年 安保法制の強行採決のやぐら映像 小西議員のジャンプ 佐藤議員のパンチ その喧騒を横目に安倍首相の退席 夜の国会前抗議の様子 ~
小原「2017年には組織犯罪処罰法、テロ等準備罪(いわゆる共謀罪)の国会審議があったりとか。政治の世界はどんどん動いていて、いま、重版するんだったらば、すごく急いでいるんだけれども その内容だけは載せたい、という思いでこの1ページを入れさせていただきました。
~ 新たに追加された1ページ ~
絵本は、こう締めくくられています。
『わたしたちは、未来をつくりだすことができます。
戦争しない方法を、えらびとることも。』
小原「やっぱり戦争って、自然に起こるものではないし、突然起こるものでもないかな、と思っていて、年表をつけることで、私たちもこの歴史の上を みんな一緒に生きているんだな、っていう気がしていて」
「歴史、っていうのは過去のことではなくて 未来にそれをつないでいくのは私たち主権者だと思うし、私たちの選択だったり、判断だったり、そういうものの積み重ねが 歴史をつくっていくんじゃないかなという風に思いますし
それを変えることができるのも、いま生きている私たちだと思うので、そういうことも(絵本を通じて)一緒に感じていただければ嬉しいです。」
~スタジオ~
下田アナ「未来をつくっていくのは、私たちの選択の積み重ねなんですよね。ロシアのウクライナ侵攻から今日で半年。
戦争を起こさないということを、改めて真剣に考えなくてはいけないですね。」
久保アナ「まさに『戦争を問う』絵本ですよね!この絵本は、全国の書店ですとかネットで定価1,000円(税込み1100円)で購入することができるんですが、今月5日に重版されて、もう再重版が決まったそうなんですね」
下田アナ「そうなんですか!」
久保アナ「特にネットでは、入荷してもすぐに売り切れる状態だということです。
今回インタビューで場所を提供していただきました野々市市の自然食品店NOPPOKUN(のっぽくん)のカフェでも店頭で販売されています。
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北陸朝日放送の久保アナウンサー、黒崎さん、スタッフの皆さん
10分25秒もの特集! HABさんの平和への想い しっかり受け止めました。本当にありがとうございました!